拌麺とはなんだろうか?
ちゃんぽんはある程度、歴史がはっきりしている。創始者の店が現在4代目で残っており、その家で言い伝えられ、その広がりや定着の足跡を追うことができる。長崎市の400年という歴史の100年という年月の中で表舞台に立つのがちゃんぽんや皿うどんである。
裏メニューの様に、脈々と受け継がれてきたという麺料理も実は存在していて、それが拌麺である。長崎華僑の店の中で提供が確認されている店はわずかになってきている。拌麺とはなんぞやというところから初めてみる。
長崎はちゃんぽんだー皿うどんだーというけれど、NBBAによると、ここの伴麺こそ、夜の思案橋の味らしい。ニンニクの効いた、辛味と歯ごたえの良い香味野菜。よく絡んだ太麺。#麺タルヘルス#dynamic_Nagasaki pic.twitter.com/udcIwrkIpI
— DRK (@limken21) November 16, 2018
大陸の現代拌麺と異なる、焼きちゃんぽんとして捉える長崎の拌麺
攪拌するとか和えるという字義があたっている「拌」であるから、現在の大陸での拌麺はただの和え麺という風情の料理である。読み方は長崎華僑の店ではパンミィェンとかパンメンとかと呼ばれている。大陸ではバンメンとかとも読むのかもしれない、この辺りはマンダリンと違った、地方地方の福建訛りなどの方言があるためである。
拌麺はそもそも香港の撈麺などと同様の麺料理であり、福建、福州の名物料理ではこの和え麺のことを拌麺というらしい。いうらしいというのは筆者はまだ福州を訪れたことがないのである。現代の大陸では、沙県小吃という中華料理のファストフードのチェーンがあり、このチェーンではピーナッツソースと和えるものを拌麺と称している様である。食文化の歴史が保持されている台湾では、香港の福州料理スタンドの様に、魚丸などを煮た出汁を掛けて黒酢や辣油、唐辛子を掛けて食べるものが見られ、乾麺とも称する。大躍進と文化大革命とを経ている大陸での食文化の保持性には大変疑問が残るため、香港や台湾、マレーシアやインドネシアでの福建料理のレシピの方が案外信用できると考えている。後者2地域での福建料理はまだ試したことがないため、今後の課題とするものの、台湾・香港の出汁と調味料で和える調理方法というのを拌麺の伝統と考えておく。
中華料理にもアイスにもインドにもスタン系国家にも造詣が深いアイスのおっさんにこの件でご教示いただいたのはかなり昔のことである。このツイートに全てが凝縮されている様な気もするため、引用する。
日本語キーボードなら攪拌(かくはん)と打って、前を消すのが良いですね。
— アイスのおっさん (@higashimo) 2018年11月16日
私は簡体字打てるようにしてるので、バンミェンで、ほらこの通り
拌面
混ぜそば全般を指してると思ってたら2の意味もあったのか。勉強になりました pic.twitter.com/HnYKQFNcxB
アイスのおっさのブログは一日一個のアイスをリポートしてくれる、ちゃんぽんを一日一回食べるより、どこかストイックでユーモラスなのである。
長崎における拌麺
長崎華僑での拌麺は些か異なる様である。ほとんど焼きちゃんぽんなのである。麺はちゃんぽん麺、唐灰汁入りの丸麺かやや平たい麺を使用するのが一般的である。ちゃんぽんのスープを主とし、そこにちゃんぽんに類似する具を載せる江山楼方式、全く別個の具材を合わせる康楽や京華園方式など、なんとも多彩なのである。そして、大陸で見られた様な、シンプルなものでなく、玉ねぎをメインに麺と混ぜる、薬味たるニラをメインにするなど、多様なのである。これは家庭によって、拌麺の作り方が異なっていたことによるのかもしれない。さらには、これらの麺は大体が炒められており、現代の大陸や中華文化圏の拌麺と異なる調理方法により提供されている。
以下の3→4店舗において「拌麺」のメニューで提供がされている。
- 康楽
- 京華園
- 江山楼
- 蘭桂坊(←2020年8月25日追加)
また、上記にある様な「焼きちゃんぽん」としてのメニューは以下の店舗で見られる。
- 蘇州林
順にまた見て周り、レポートをしてみたいと思う。これは必ずしも各店舗で見られるメニューであるわけではないため、それぞれでのレポート番号を拌麺の中で振り分けている。
最後に、康楽のリポートを引用しておく。
拌麺は裏メニュー的根強い人気?
裏メニューではないが、ひそやかな人気は拌麺だろう。読み方はパンミィェンとするらしい。先代の兪雲登先生の頃から通っていた客の中では密かな人気で、ちゃんぽんより拌麺、皿うどんより拌麺と、拌麺推しなのである。ちゃんぽん麺を使用した炒め麺であるが、木耳椎茸などのキノコ類、豚肉、エビ・イカなどの海鮮、香味野菜としてのニンニク・ニラ・玉ねぎが効いたちゃんぽんスープの絡んだ、唐灰汁の強いちゃんぽん麺の香りと出汁の効いている、それはそれは美味な麺なのである。拌麺というのだけれども、字の通り、鍋上で攪拌した麺料理で汁気を飛ばして麺に絡ませるのが通例の様であるが、代替わりして、たまに頼んでも皿の底に具材から出た汁が溜まっていると、今日はハズレの日かと思ったりもする。ともあれ、食べたくなる時が多いので、病みつきになっているのは否定できない。
長崎市内で見られている拌麺
中華料理 康楽の拌麺
一度、すでに康楽の拌麺に関しては紹介すみである。
フュージョンディッシュ 蘭桂坊の韮拌麺
中華名菜 京華園の韮菜拌麺(2020年10月6日更新)
京華園においては、冷拌麺なるものが登場したのである。
中国菜館 江山楼の拌麺
中華菜館 福壽の拌麺