長崎華僑の総本山(だった)康楽
繁華街のビルのオーナーになり、Covid-19下での苦境下でも家賃の値下げもしないという新興華僑の勃興と対照的に、古くからの華僑はここのところあまり大きな話を聞かず、観光客の激減で、3店舗の全館休業日も見られている江山楼をはじめ、元気はない。
先代の主人は長崎の華僑の中でも有力者であり、「日中友好」の旗印のもと、上海長崎の航空路開設(1979年)、それに引き続く、在長崎中華人民共和国総領事館の誘致(1985年)に尽力した人として知られている。店の大きさには不釣り合いな大きな揮毫がぶら下がっており、当時の権勢を忍ばせる。この手のは大抵、嬉しそうに中華新年のパーティでもらったらしい、大陸の高級茅台酒のボトルを飾っているものである。案外飾っていない店は、強かに地元のお客がついていたりと、その辺りの温度差が激しいのも華僑の世界であるようである。
現在で3代目になったという福建からの流れを組む家族経営の店である。先代の兪雲登先生は長崎華僑総会でも「日中友好」と長崎における中国のプレゼンス増強に尽力され、長崎上海の航空路を誘致するなど、航空ファンにとっても、別の側面を持つ中華料理屋である。壁に掛けられた中華式の揮毫はどこか大仰で、店の大きさに不釣り合いにも見えるのは、その筋から送られたものなのだろう。
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中華料理 康楽で拌麺は裏メニュー的根強い人気?
裏メニューではないが、ひそやかな人気は拌麺だろう。読み方はパンミィェンとするらしい。先代の兪雲登先生の頃から通っていた客の中では密かな人気で、ちゃんぽんより拌麺、皿うどんより拌麺と、拌麺推しなのである。ちゃんぽん麺を使用した炒め麺であるが、木耳椎茸などのキノコ類、豚肉、エビ・イカなどの海鮮、香味野菜としてのニンニク・ニラ・玉ねぎが効いたちゃんぽんスープの絡んだ、唐灰汁の強いちゃんぽん麺の香りと出汁の効いている、それはそれは美味な麺なのである。拌麺というのだけれども、字の通り、鍋上で攪拌した麺料理で汁気を飛ばして麺に絡ませるのが通例の様である。スープがちゃんぽん麺に上手く絡んで、具材の風味と渾然一体とするのが拌麺の特徴である。代替わりして、たまに頼んでも皿の底に具材から出た汁が溜まっていると、今日はハズレの日かと思ったりもする。ともあれ、食べたくなる時が多いので、病みつきになっているのは否定できない。
中華料理 康楽 店情報
ランタンや夏休み時期には他県からの観光客で溢れかえり、店の前に行列ができることもある中華料理屋である。訪問時には時期を外して拌麺を食べてみて欲しい。
- 住所:長崎市本石灰町2−18
- 電話番号:0958210373
- 営業時間:17:30 - 23:30(営業時間は短縮されることが多い)
- 営業日:不定休、店頭の張り紙により通知、訪問時には電話で問い合わせが必要
- 支払い:現金のみ