不評のYC1系
長崎県と佐賀県にまたがって、長崎線、佐世保線、大村線を走行しているYC1系車両であるが、長距離を移動する者にとっては、不評で、料金と時間との兼ね合いもあって、長崎ー佐世保間では高速バスの利用が優っている。JR九州の見立てでは、もともと通しで乗る需要はなく、ハウステンボスから長崎が最長の需要があると見ている区間なのであろう。観光客が長崎県を周遊するにも、通勤通学で頻回に利用するにも、座席数が少なすぎて、腰を悪くしそうな内装である。朝のラッシュ時だけの輸送力を考えて営業しているJR九州の在り方が如実に現れており、これはこれで「ながさきの乗り物」として、乗車をしてみるのが良いのかもしれない(とくに株主になりたい皆様におかれましては)。
Yasashikute Chiakaramochiの頭文字からとられた形式であるが、誰に優しいのかが全くわからないのである。ディーゼルエレクトリックと蓄電池の併用によるため、エンジン音とモーター音とが聞こえてき、かつてのキハ66、67の頃のような峠を越える時の音からの旅情などというものはない。省エネと効率化を目指しているようで、優しいのは環境と運行会社に対してのみ、われわれ乗客についてはどうでも良いように考えているという姿勢を示しているような車両である。
プロトタイプは期待を持てたが、、快適なYC1系での旅のために
筆者が初めてYC1系に乗車したのは、YC1-1、量産型の第一号車輌であった。ロングシートのクッションは肉厚で、各所に二人がけや四人がけのボックスシートが用意されており、大村線の将来は楽しみなものだと思ったのである。その貴重な一両に人気がほとんどない時間帯に出会ったので、写真を載せておく。もし、時間に余裕があって、運用が確認できる場合には、この車両が繋がれている編成を利用することをすすめる。
その後、100/200/1100/1200番台に出会うと、これでは長距離の移動は困難だなという印象に変わった。ロングシートがメインのコンフィグレーションとなり、小学校の木の椅子に座布団を貼り付けた程度の、「人間工学、なにそれ美味しいの?座席の形したバエル座席でええんやろ」というJR九州のデザイナー陣がいつもの調子でおつくりになった椅子とは言えない代物が積んであるのだ。
大村線経由の長崎県内二大都市間輸送には適さず、長崎から大村程度、佐世保から早岐程度までの近郊通勤輸送をYC1系車両は満たせばよいというメッセージを感じる。大村線の風光明媚な鉄道としての旅を楽しむということは、できなくなった車輌である。