長崎市内では強弱豊かに、佐世保市内では平坦に
「なんか、わざとらしいですよね」
長崎県へ出戻りでやってきて「ながさきことば」で喋っていた際、初めに職場で言われたのはこの言葉であった。県北エリアでは普通に聞こえ、普通にしゃべられているように喋っているのであるが、もともと標準語話者として全く訛りのない(らしい)日本語を喋る印象も強かったのだろう、びっくりしたものである。
これはアクセントの違いである。佐世保市内で育ったものなどからすると、長崎南部の喋り方というのはどこか滑稽に聞こえるし、長崎市内で育ったものからすると、北部の人間の長崎弁は「わざとらしく」喋っているように聞こえるという。標準語様に、単語や文章内にアクセントが乏しく平板に聞こえるのが長崎県北部の喋り方である。県央から県南部となると、それぞれに抑揚が生まれ、県北の人間が聞くと鹿児島や熊本の訛りのように抑揚が大きく、気持ちが大きく聞こえるのである。
ぬくい(温い)
意味:暑い、暖かい
<用例>
「今日はぬっかですもんねー」
今日は暖かいですからねー
「今年は今頃までぬっかけんねー、魚もいつもんとのあがらんとですよー」
今年は今時まで暖かいですからねー、魚も平時のものが揚がらないんですよね
※長崎人が標準語と思って喋っている場合もあるからそこには突っ込まないように!!!ショックで突然死するかもしれない。平坦に、県北エリアでの発音のように喋れば標準語を喋っていると思っている節もある。
これが転じて、温める動作を「ぬくめる」となるのであるが、さらに五島地方にておいては、「ぬるめる」となる。微温いと当てる字を思いつくのであるが、温める、暖めることをこう表すらしく、同じ長崎県民が集まっても、ポカンとする瞬間がある。
島原の方まで行くと「ほめく」という言葉が暑いを意味するが、これも熊本文化圏に近いため聞かれる言葉である。蒸し暑いなどという意味になるらしい。熊本文化圏は福岡県南部から熊本周辺、対岸の島原半島まで、環有明海文化圏ともいうべき広大な地域で共有される文化が見られる。人の行き来もこれに準じているため、方言なども似通っており、興味深い。
夏の風物詩シリーズ
長崎の夏は厳しい。湿度が異常に高く、木々の植っているのも少ないため、非常に気温が上がりやすい。そんな長崎の気候の中での夏の風物詩といえば、清花和の鱧料理であり、福壽の冷麺である。
きゃーこしける
意味:(手先・足先が)かじかむ
長崎弁なのか、あまり聞いたことがないような使用頻度が下がっているものの、中年以上の人々の間で聞かれる言葉である。手先がかじかむ様をいう。