#dynamic_Nagasaki

Dynamic Nagasakiを見つめ直します。現在おっさんがちゃんぽん食べ歩いています。

さよなら ありがとう 『特急かもめ』(中)787系電車 885系電車 2022年9月22日までのラストラン

西九州新幹線の開業を前に カメラ小僧のシーズンふたたび

2022年9月23日より、長崎と武雄温泉をむすぶ西九州新幹線が開業する。「長崎県民の悲願」と言われたのは過去の話で、佐世保を通過しないことが決定して、県北の熱は一気に冷め、昨今のモータリゼーションの遅れた波が西の果てまでその恩恵にあづかれる人々を増やして、県南でも新幹線への期待はゼロに近いことになっている。欲しがっているのは、特急運行が面倒くさくなっているJR九州と、建設業とべったりの議員の方々、何かやっている感を出しておきたい行政の方々、観光の起爆剤になると思っている産業界の人々くらいで、長崎のというと主語が大きくなりすぎ、一般市民には縁遠い交通機関がやってくる。

長崎駅には新幹線かもめの指定席座席が展示されていた ヘッドカバーはつけないのであろうか

今回は特急かもめとして最後まで走った二つの形式の電車についてである。

dynamic-nagasaki.com

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#サヨナラかもめ で失われるもの

Twitterでは #サヨナラかもめ として、失われゆく特急かもめの様子を記録している。車両を撮るもの、景色を撮るものとして、さまざまに皆がカメラを向けているが、新幹線開通というと多岐にわたる失われるものがある。最後にその辺りをまとめておきたい。

  1. 武雄温泉駅で乗り換えが必要になり利便性低下
  2. 在来線非電化化した県庁所在地(九州初!)
  3. 公共交通機関としての在来線の地位低下

武雄温泉駅で乗り換えが必要になり利便性が低下

これは各方面から猛烈なツッコミをいただくのであるが、そもそも、今回の西九州新幹線では、フル規格部分の武雄温泉駅で乗り換えが必要となる。特段長崎県に興味がないものの間では、福岡からの直通新幹線が開業すると考えているものもあり、この辺りの周知が遅れている。乗り換えなしで移動するというのは、案外旅行者にとっての重要事項であろう。在来線で1時間ほどゆられたら、そのまま対面ホームの新幹線に乗り換える必要が出ており、のんびり車内でお弁当を広げたり、という時間はなくなる。

諫早駅をゆく415系電車

在来線非電化化した県庁所在地(九州初!)

九州に誇れる成果を見せるのも、また長崎の得意技でありたいらしい。悲しいことに在来線で非電化化した九州初の県庁所在地になることとなる。これは次項にもつながるのであるが、在来線通勤電車は消え失せ、速達性でも快適性でも、現在のハイブリッド車両であるYC1系は電車には劣後しており、その分時間がかかるのである。

稲佐山、電車、気動車の並びというのも、9月23日以降には見られなくなる

公共交通機関としての在来線の地位低下

特急かもめというのは、全線乗り通しの需要より、福岡と佐賀、佐賀県内、長崎県内で細かく利用者がいる交通機関であった。長崎県内では、長崎と諫早を結ぶ需要が朝夕の時間帯問わず、日中でも見られ、自由席などは利用者が多かったのである。現行の特急と普通列車を合わせた供給が今後も確保されるのかは不明であるし、費用面からも、諫早長崎間で新幹線を利用するものが出てくるのかどうかは甚だ疑問であり、今後は県営バスなどの諫早長崎間のシャトルバスなどでも客が増える可能性がある。

長崎駅で出会えた415系電車

787系電車 黒いかもめ

特急つばめ型車両としてデビューした787系車両である。日南本線や鹿児島本線での長距離列車である、「つばめ」、「有明」として運行が開始され、「にちりんシーガイア」へと広がっていき、9両編成の長大なグレーの塗装は九州の鉄道の新たな時代を感じさせていた。国鉄時代のビュッフェなどの車内サービスは維持され、短い運用となる佐世保方面や長崎方面の旅客からみると、旅へ出かける楽しさ・喜びが詰まった憧れの車両でもあった。

旧長崎駅の787系
ホームの間に三本軌道が引かれていたため、このような写真を撮っても様になった

2011年3月11日の九州新幹線の全線開通とともに、九州各地での運用が広がることとなった。佐世保線への臨時列車を皮切りに、783系に続き885系が主であった長崎本線にも入り、先に投入されていた「白いかもめ」こと885系に対して、「黒いかもめ」と呼ばれるようになった。博多までの所要時間は2時間程度かかるものの、元々の長距離列車としてのゆとりある客室や振り子機能を搭載していないことなどが、人気の一因でわざわざ、「黒い方」を指定して特急の時間を決めるものもあったほどである。

787系の元ビュフェ車の普通指定席

いまだに残るツバメの残骸
天井が高く、座席間隔も広いので、荷物がない際にはこれでもよい

同じ号車にはボックスシートが用意されており、どこかヨーロッパのコンパートメントのようでもある

885系電車 白いかもめ

カーブの多い長崎本線の肥前山口以遠のスピードアップを狙って、かもめ向けとして新造された系式であり、ソニックの増備車としても製造された。当初は、系式ごとや運用にあわせて、一次車の長崎方面は黄色に「かもめ」のエンブレム、二次車の大分方面は青色に「ソニック」のエンブレムが当てられていた。現在は、JR九州社内での大分方面の力の強さからか、青色に統一されて、運用の簡素化が図られている。前照灯の形状もやや垂れ目に見える二次車とキリリと四角に見える一次車での違いがある。

側方からみた885系
現在の長崎駅の雰囲気ともマッチしていた

スタイリッシュな外観に比して、乗客からの苦情の多い車両であった。メンテナンスのための座席での皮革利用や速度向上のための振り子機能などは、乗客の間では不評であった。座席は全席皮張りであるため、カーブを繰り返していくごとに座面から身体が滑り落ちていきそうになった。振り子機能での車酔いを起こしやすいなどの欠点からこれを回避する客もいた。また、水戸岡デザインでの居住性の悪さが目立ち、車内での飲食をするにも、仕事で資料を広げるにも、狭すぎて遠すぎる、見た目だけは「スタイリッシュ」な内装もまた、評判が芳しくない。

885系の落書きと呼んでいたデッキスペース

そして、こんなこともあったのである。

キハ4647との取り合わせの885系 これももう過去の話となる

さいごに

最後に「特急かもめ」から撮ったこの写真を載せておきたい。霞がかかったような海上の向こうに雲仙の山々が見え、ぼおっとする地平と、手前と奥のくっきりした様が、一瞬だけフッと見えるのが、かもめの冬の風景であった。1時間ほどで走破してしまうため、短時間になるが、この景色を暖かい車内の椅子から見られるのも、もうおしまい。ありがとう、さようなら。

冬の夜明けの頃、遠くにくっきりと見える雲仙の山々

 

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