福壽の秋の新メニュー、五目シリーズ
風が冷たくなり、少しずつ冬の影がチラつき始める、10月である。長崎の10月はくんち前後の上旬までは、夏の日差しがまだ残り、秋の気もなく、そのまま冬の風が吹き始める。その時期に福壽の店頭には、何やら新たな新メニューの登場を告げる張り紙が貼り出された。
この店の手書きのPOPはなかなかのもので、観光客向けというより、やはり地元の常連客を相手にしているだけのことはあり、毎日か毎週か何かニュースがあると少しずつ移り変わっていくものである。家庭的な中華料理が昼のメニューにあがり、新たなメニューも増えていく点で、長崎のちゃんぽんストリートの中では、最もイノベーティブな店なのかもしれない。キャッシュレス決済やウェブページなどというものはもちろんな位のであるが。。。
私だけだろうが、長崎の夏の風物詩の一つと思っている、唐灰汁麺の福壽 冷麺がある。瑞泰號という唐灰汁麺を作る製麺所から納品されるちゃんぽん麺・皿うどんの細麺に加えて、各料理屋でそれぞれの好みの麺を発注しているらしいのである。湯がいた後に氷で締まり、唐灰汁麺の独特の食感と香りが楽しめるのが、福壽の冷麺である。
今年から始まった、瑞泰號の冷麺用の麺(おそらく福壽特製)の冬用メニューは二種類がある。五目あんかけ湯麺と五目焼きそばである。 唐灰汁麺という深遠な世界の中でも、この五目焼きそばの麺は、新たな境地を見せてくれるため、おすすめである。
福壽の五目あんかけ湯麺
名前の通り五目あんかけがかかる麺である。什景湯麺とでもいうのだろうか。具材は黒木耳や人参、白菜、竹の子、豚肉、イカなどで、野菜のたっぷり入ったあんかけである。ちゃんぽん麺より細めの麺で、少しく煮込まれているため、麺の食感はちゃんぽんらしいが、スープやあんかけとの絡みも良い。ベースとなるスープには生姜が効いており、これからの寒くなる時期には良さそうだ。
福壽の五目焼きそば
什景炒麺にあたるのであろう。具材は竹の子、白菜、人参、黒木耳、イカ、豚肉などが入り、ほとんど、五目あんかけ湯麺とは変わりがない。同じ様な具材を使っているが、全く違った料理になるところが面白い。特に麺は上の五目麺と同じものを使っているにもかかわらず、かた焼きにしてあるため、唐灰汁麺の噛めば噛むほどモチモチして香ばしくなるのが病みつきになる。これをやや甘みのあるあんや具材と絡めていただくことになる。少しく、辛子を混ぜ込むとまた違った味になるからやってみてほしい。
唐灰汁麺についてのさわりは以下の記事にしたためたが、やはり民俗学の学問としての見地からは関西学院大学の島村先生の教室のが良い気もするから一緒に載せておく。長崎の転換点だったと思われる2010年代中盤の記録としては重要なものだと思う。
福壽の店情報
- 住所: 長崎市新地町2−5
- 電話:0958213032
- 営業時間:11:00 - 14:30 17:00 - 20:30
- 定休日:なし。不定休。ただし、店頭に掲示される店休日を参照のこと。土日は大抵やっている。
- 支払い:現金、カード・キャッシュレス決済不可。
最後に、維新號の同じ様なメニューを。唐灰汁がない麺を使うため、こちらの麺はあっさりであった。せいろが綺麗な飴色になっている。日曜も営業する様になった様で、以前より行きやすくなった。