かつての賑わいの町、築町のちゃんぽん食堂
かつて、長崎の台所として賑わったのは、街中にあった市場であった。大抵は暗渠の上に建てられたり、細い路地を形成したりとなかなか風情のあるところであったが、最近どんどんなくなってきていた。あじ盛のある築町は、かつては、築町市場を中心に市民の台所として、魚や八百屋といった、日常の買い物をする景色が見られていた。築町市場は、1999年、長崎市の施設、メルカつきまちとして、地下に縮小移転させられ、長崎市の市役所の市民サービスコーナーやホールを併設する施設として開設された。この再開発は、多くの市場関係者の店舗を廃業させ、取引量の現象を招き、築町エリアの活気を失わせ、失敗と言われている。
そんな築町エリアであるが、魚の仲卸はまだ残り、蒲鉾屋や干物屋なども点在し、長崎の食事情の中心である。魚屋たちは、料理店に向けての仲卸作業を朝早くから終わらせ、この辺りの飲食店で、遅い昼飯をとったりとするのである。
あじ盛食堂は68年続いているという。正式名称はどうも「長崎名物ちゃんぽんの店 あじ盛」らしいのである。2代目の主人とともに3代目が仕事をしている。昭和の風情というが、それより、この繁盛していた築町の魚屋や八百屋といった、商売人が一仕事終えて店にやってくる午後1時半以降がなんとも気持ちが良い。ちゃんぽん食堂であるが、瓶ビールを頼み、ガラスケースから選んだ、刺身やすり身揚げなどを摘みながらささやかな楽しみを満喫しているらしい様がなんとも良い。ガラスケースには刺身、小鉢、煮魚、すり身揚げなどが並んでいる、酒飲みにはたまらない風景でもある。
メニューは以下の通りである。
あじ盛のちゃんぽん
食堂ちゃんぽんとしての、一つの完成形であろう。油滴の浮いた、やや長崎市内では珍しいスタイルのちゃんぽんである。具材は、どぎつい蛍光ピンクのハンペンが目立つのであるが、とにかくキャベツが多く、もやし、玉ねぎ、豚肉、揚げカンボコ、あさり、冷凍イカ、えびなどである。麺は黄色の丸い麺であり、唐灰汁は弱めである。スープは豚骨6に対して、鶏ガラ4と、長崎市内でも珍しい組み合わせである。
よく火が通っており、野菜の歯触りはしんなりするほどであり、焼きは弱く、煮ちゃんぽんである。皿は黄色の縁取りの口の開いた平たく浅い碗であり、黄色の中には水色・赤色・青色の三色で描かれた雷紋様が見られる。
http://www.ktn.co.jp/yojimaru/20200224298211/
店情報
築町市場としての活気は失われたが、前世紀までに見られた長崎市民の台所を感じられる食堂である。キャベツの美味な時期には美味であろうし、何より、朝からやってるのが良いという人もいる。昼間から、長崎の食材でお酒を飲みたいという人には良いだろう。1日を通してどこかのタイミングでおとづれてほしい食堂である。朝ちゃんぽん(朝ちゃん)などできる店は長崎市内でもそうそうないのだ。
- 住所: 長崎市築町4−26
- 電話番号: 0958224810
- 営業時間: 8時30分 - 19時30分
- 支払い:現金のみ