『すずらん』　小値賀の具沢山すぎる海鮮ちゃんぽん【長崎県でちゃんぽんを巡る】１４９

小値賀の街中にある「すずらん」

小値賀島というのは、五島列島の中でも、宇久島のすぐに下に位置し、北の方に位置する人口2200人ほどの小さな島である。陸伝いにみてみると、平戸島からの延長線にのっているようにも見え、歴史的には平戸藩の領地に含まれていたことから、五島列島というよりは、平戸藩の領地の最西端の一角であったともみられるであろう。平戸松浦藩の領地内では、免、触、浦を行政単位としていたとされ、現在でも地名にその名残を見るが、小値賀では、郷を使っている。浦から郷へという点については、よくわかっていないようである。自然史上では、火山の群島としての要素が強く、これは、島の産品でも、特異性を示すことになっている。

すずらんは、2011年12月7日を開業日としているようで、14年ほど前にやってきた福岡からの移住者の方の店である。若い人々向けのガッツリとしたランチメニューが主であるようで、茶碗のご飯の盛りといい、おかみさんの体型といい、島であるらしさといったものが、前面に出てきている。店は夕食の時分、昼食の時分で人があつまるようである。

すずらんの海鮮ちゃんぽん

具材はすり身（カニ？つみれ、板付けかまぼこ、揚げかまぼこ、ちくわ）、鯛の切り身、サバの切り身、燻製サバ、イカゲソ、タコ、エビ、アサリ、タマネギ、キャベツ、インゲン、ニラ、小ネギなどである。麺はやや唐灰汁の効いた中平のちゃんぽん麺である。スープは鶏ガラベースのものである。

焼きよりも煮の強いちゃんぽんであるが、麺はややくたくたになるほどに煮込んであるのに対し、海鮮系は適度に火が通っているため、案外、麺は茹でてしまっているのかもしれない。とにかく海産物の量がものすごいこととなっている。魚種だけでも、鯛、サバ、イカ、タコ、エビ、アサリ、エソ、アゴなどであろう。ちゃんぽんには向かないような魚も入っているが、煮込みが弱いので、案外、あっさりとしている。