小浜ちゃんぽんの位置付け
小浜ちゃんぽんは日本でも全国区になり、一つの料理のジャンルを確立しているかのようなそぶりをみせているが、なんのことはない、市の観光行政の賜物なだけで、やはり長崎市の華僑からの流れをくんだものである。このため、小浜ちゃんぽんの位置付けは、当ブログ内では、あくまで長崎ちゃんぽんの中の一ジャンルにとどめることとし、大枠のちゃんぽん=長崎ちゃんぽんという括りの中で、その下流に小浜ちゃんぽんが位置するものとして定義していくこととしている。所詮、市役所かどこかの人間が観光・町おこしで全国区に広めただけのもので、四海楼始祖説並みの扱いとしておく。三大ちゃんぽんなどというのは存在せず、全て、長崎ちゃんぽんの下流の「地域色豊かなちゃんぽん」と位置付けることとするのである。
オバマ、小浜、おばま
さて、小浜というと、かつては長崎市の人々にとっては身近な温泉地であった。よく、雲仙はたかいから、温泉といったら小浜というのが、定石通りの会話で、今の70代後半の人々は退院したら〜と言っていた。かつてはというのは、長崎自動車道ができて、嬉野や武雄が身近になってしまい、今度の西九州新幹線(旧長崎新幹線)の開通により、さらに嬉野・武雄が身近になる時代が来ているように思われる。
山を越えると島原でその先は熊本であるため、熊本からの客も多いのが島原半島である
小浜へは、長崎からはかつては橘湾を横断する蒸気船が走っており、茂木港からすぐであったという。これは、長崎上海航路から田上(たがみ)を越えて茂木に馬か人足で行き、そこから小浜へ船で渡って、東洋一の避暑地 雲仙を目指すルートの途上にあったのである。現在では県営バスの小浜・雲仙ルートがあるのみとなっているが、これも特急の運用で運行しており、往時のこのあたりの華やかさがみられる。
公衆浴場付きちゃんぽん屋 よしちょう
寂れた温泉地である小浜には、日帰り温泉に近い位置付けとなる公衆浴場付きちゃんぽん食堂がある。味処湯処 よしちょうである。創業は大正年間、松月楼として創業したという料理屋であった。90年近い歴史を有しているという。その歴史を感じられるものは店内に僅かに置かれた食器類のみで、昭和の高度成長期の面影のほうがつよくなっている。
味処湯処よしちょうのちゃんぽん
具材はキャベツ、タマネギ、モヤシ、ニンジン、揚げカンボコ、チクワ、エビ、ゲソ、豚肉、黒キクラゲなどである。スープは鶏ガラベースに豚骨も入っており、やや乾物からの出汁も入っているのであろう、煮干しなどを使っているという。麺は自家製のレシピで、沸いている温泉水を利用しているといい、唐灰汁はあまり感じられない。
焼きのやや効いた、煮がメインのちゃんぽんである。多彩な具材から出てくるエキスが面白いのであるが、唐灰汁の利き方があまり感じられず、食べやすいが物足りない印象となる。風呂場まで降りてくる、鶏ガラと豚骨、ラードの香りがちゃんぽん食堂に風呂が付いている特殊な位置を思い出させる。麺は自家製麺としているが、唐灰汁がほとんど入っていないのであろう。
味処湯処よしちょうの公衆浴場
薄暗い、熱い、というのが特徴である。湯の花により、タイル貼の浴槽も目が埋まっており、歴史だけはあるのであろう。ただ、薄暗い上に、創建当初の雰囲気なのであろう、太い丸い柱がトレードマークになりそうである。泉質は雲仙に似ているが、ややトロミがあって、肌に吸い付くようであった。源泉がそのまま温度調整を受けてから投入されているというから、こんこんと湧いている湯が溢れている。午前中の仕事を終えての入湯となり、湯当してもと手足と短時間の入浴としたが、一日中湯の移り熱が抜けないほどであった。
味処湯処 よしちょう 店情報
- 雲仙市小浜町北本町905-32
- 0957-75-0107
- 営業時間:11:00 - 22:00
- 定休日:第二第四水曜日
- Web:https://www.yoshicho-obamaonsen.com