長崎 ウィズ・コロナ宣言
Covid-19下で各種イベントごとなどもなくなり、市民と市役所をつなぐ掲示板にも西の果てならではのどこか浮世離れした事柄が載ることもある。6月中旬ごろから張り出された高札には、ついに長崎市スタイルの精霊流しの実質的な自粛要請が張り出された。
デルタ株の長崎県内での検出数も増えてきている状況下で、どうか、長崎市に住んでいる方々は、この項目を守り、精霊流しへの参加は控えてほしい。
文字に起こしておくが以下のように記されている。
今年の精霊流しは極力控えてください
「流さない」 「こもを流す」 「小さめの船を流す」
※どうしても精霊船を流す場合には、徹底して蜜を避けてください
- 船を造るときは、必要最小限の少人数で。
- 船を流すときは、一人または二人で担げる程度の小さな船か、「こも包み」で。
- 船を流すときは、まちなかを練り歩かずに、すみやかに一番近い流し場へ。
- 見物は、極力控えてください
- 精霊流しの前後は、会食を極力控えてください
流す際の三原則や言い回しに細心の注意を払った痕跡が見られる精霊流しの注意点の文言が並んでいる。さて、市民はこれを守ることができるのだろうか。
精霊船のサイズ制限は長崎市では受け入れられるか?
佐世保市などでは、工場で作られた一から六人向けの手持ちの船が通常通り、玩具屋で売られており、これを精霊船として使用するものが多い。長崎市になると、精霊船は全長2mから8m、さらに複数の船を連ねた20から50mクラスのものまでが街を練り歩く。六人から三十人ほどの人で引き回し、交代要員や親族なども多く伴うため、百人規模になるところも多い。見栄っ張りの長崎市民からすると、1桁の参加人数で精霊流しなどとは考えられないだろう。
精霊船の参加に関しては、長崎の警察署へ届け出る必要があり、6人以上で持つ場合には全長2m未満となるだろうから、道路使用許可が必要になる。警察と連携した、道路使用許可を停止などの措置はおそらく取られないのだろうから、通常通りの精霊流しを行う家族も出てくるだろう。
※特に精霊流しにおけるCovid-19関連の注意事項、市役所廃棄物対策課からの自粛要請に関する注意事項と、警察における道路使用許可との間で、整合性の取れた対応は警察としては行っていないようであり、縦割りは健在である。あくまで市役所からのお願いベースである。
参考までに、以下に最高級の精霊船と庶民向けの精霊船の値段をあげておく。
精霊船のルート
精霊流しにおけるルートは、参加者にとって、重要なポイントであることが多い。県庁坂を最後の花道に、そこをゆっくり上り、下るのが重要で、時間帯もテレビで放映されている時間(21時以降)に行うことがよしとされる。順番待ちをしたり、小さな精霊船を先に行かせたりという、自分のところの見栄をはるのがよしとされているため、精霊船の渋滞がおこることも多かった。東長崎や茂木、大浦、浦上からの遠征で大波止までやってくるなどという話も聞く。最短のルートの最寄りの流し場などというのは長崎市の精霊流しでは異例だろう。
昨年より一歩踏み込んだ自粛要請
2020年の精霊流しにおける役所の出した注意点は昨年まとめている。2020年版では。人数に関する具体的な記載はなかったのが、2021年版で出現している点は、昨年の精霊流しでは、これらを守らないものが少なからずいたということだろう。夏休みとオリンピックを契機にした都会からの人流は妨げられそうにないようで、夏のイベントで更なる感染拡大も起こり得る事態になりつつある。
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