長崎新地中華街の現状
中華街、ちゃんぽんストリートはなかなか、やる気のないレストランが多く、過去の「長崎市」という遺産で何とか食いつないでいるところが多い。ランタンフェスティバルは、市の予算からも1億円弱(9684万円程)が当初予算に組み込まれるなど、華僑の祭りに対して多大な支援を行政として行っているようである。その期間に、ちゃんぽん皿うどんを100円値上げし、年の収入の半分を稼ぎ出し、あとは午後八時に店を閉めて飲み歩くのが一般的な現代の長崎の華僑のあり方である。飲み屋の壁にはちゃんぽんストリートのレストラン名のキープボトルが並んでおり、勤勉に働くというより金の算段に明け暮れていそうな雰囲気を伝えている。新興の華僑たちは他の繁華街で自分の店を持ち、大陸でも流行るような店構えで火鍋屋などをやっている。新地の華僑の店では、古くからの料理は忘れられ、ちゃんぽん・皿うどんを主体としたメニュー構成となり、ちゃんぽんストリートと化してしまっている。
オランダ語表記の看板など謎おおき新和楼
さて、今回はそんなちゃんぽんストリートの中心部に位置する、新和楼である。そもそもChineseのスペルがオランダ語表記様のChineesになっている看板をぶら下げている。日蘭貿易時代から店を構えているのか、オランダ人がメインで来るとでも思ったのか、なかなか先を見通せないのはいつの時代もそうなのだろう。
新和楼の創業は1928年であり、長崎の中華街でも最も古参の老舗である。上述の長崎古参華僑の雰囲気そのもので、なかなか香ばしいのも新和楼の醍醐味の一つだろう。
外には怪しげなディスプレイが設置されており、なぜか、長崎ザージャー麺(炸醤麺)を売り出している。大陸でも北方の料理である炸醤麺、福建や広東ではかなり珍しいものであるから、新たにレシピを開発されたのであろう。
昭和の面影を残す店内は、カフェか何かのようでもある。一昔前の大陸でありそうな雰囲気であった。
新和楼のちゃんぽん 低クオリティである
新和楼のちゃんぽんは定型のものは含まれている。口の開いたやや平たい皿に盛られ、ロゴ入りの器や、どこか凝った箸袋など、往時の面影を留める。具は細切りのキャベツ、もやし、玉ねぎ、薄いピンクのはんぺん、黒キクラゲ、あさり、エビ、豚肉などである。唐灰汁入りのちゃんぽん麺は腰がなく、よく煮てある。スープは鶏ガラベースなのであろう。
素材からの灰汁は取っておらず、エビはほぼ生、肉の獣臭さも残る、野味溢れるちゃんぽんである。麺の固さからみて、煮をメインでやるちゃんぽんであったのだろうが、この辺りのギャップは不思議である。鍋を焼く音は聞こえていたのであるが。。。野菜高騰の煽りを受けてなのか、野菜ラーメンレベルの野菜量であるのもどこか寂しい。麺ばかりが残り、最後まで食べるのに苦労した。
ちゃんぽんストリート内、他にも店はたくさんあるのであろうから、他所へ行った方が良さそうなレベルである。家で作ってもこのレベルにするのは難しそうである。
店情報
長崎新地中華街、長崎ちゃんぽんストリートの現状を色濃く反映するレストランとしての訪問価値はあるが、食べることに関してはやめた方が良いだろう。観光客一本槍になってきており、なかなかお寒い状況の中華街を代表する老舗の一つである。
- 長崎市新地町11−18
- 0958223016
- 営業時間:11:00 - 15:00 17:00 - 21:00 (LO20:00)
- 支払い:現金、QRコード、カード可