五島列島の小値賀
小値賀には行ったことはない。長崎県内でも、離島としては少し遠いところであり、直行する船は佐世保からとなり、佐世保では小値賀や宇久といった五島でも北部の地名をよく聞くことがある。小値賀と書いて「おぢか」と読むのである。長崎航空の就航地案内に小値賀とあり、子供ながらに、どこか遠いところに感じていた。佐世保からであれば、1時間半ほどの船旅である。長崎航空の頃には小値賀空港への航空便も就航しており、割合とアクセスはよかっただろうが、今となっては、さらに遠い島となってしまった。
東京で「小値賀町」の看板を発見
東京でこの島の名前を見つけたときには大変驚いた。長崎の五島列島の中でも、長崎市民にも馴染みがなく(彼らは大抵長崎市内のことも知らないのだが)、観光地としてはそこまでの知名度もない。カツオと呼ばれているが、大抵はハガツオが長崎市内の魚市に送られてくるほか、ピーナッツの産地、レンガ積みの野崎の野首天主堂など知られている。
さて、このご当地酒場 長崎五島列島 小値賀町であるが、2015年の7月に開店していた。ICCHO 日本橋の飲食エリアの隅にあり、大抵は通り過ぎて気がつかない様な一角である。12時前から、多くの人が出入りし、活況を呈しているのはなんだか嬉しくなった。日本橋という立地でのランチの相場はわからないが、1000円でお釣りが来るほどの価格設定が多く、焼き魚定食や煮魚定食などは50代から70代以上の世代には嬉しいメニューなのだろう。
カンパチの丼にしてみた。九州の人の好みである、もっとビリビリとした(歯応えの強いコリコリとしたという意味)、切り口の角が立つ様な切り身が並ぶのかと思っていたが、熟成が進む一歩手前くらいの鮮度であり、関東ではこうだろうなという歯応えである。醤油も刺身醤油ではなく、アゴの出汁を効かせたものがテーブルに備えてある。小鉢についているピーナッツ豆腐は小値賀のピーナッツを使用したといい、島でもあったのだろうか。カンパチの丼であるが、最後にはお茶漬けの様にして食べると良い様で、白湯のサービスがある。魔法瓶にはちゃんぽんと書かれていたのは気になるところである。サラダのドレッシングなども長崎県産品から出ているのだから、そちらを使っても良さそうであるが、どれもやや値がはるか。。
五島での刺身は大抵、胡椒と呼ばれてきた青唐辛子やニンニクが薬味になることがあり、山葵が手に入らなかった名残りで、今でも、これらの薬味を好む島の出身者が多い。柚子胡椒を使うものもいる。長崎市内でも、五島出身の料理人がいる店で、島の出身者と知っていると、そっと青唐辛子が出てくることがある。ご当地と言いながら、現地の食べ方や風習までは汲んでいない様であるのが少し残念な気もする。
店情報
- 住所: 東京都中央区日本橋1丁目3−13 B1F 東京建物日本橋ビル
- 電話番号: 0362621277
- 営業時間: 11:00 - 14:00 17:00 - 23:30
- 支払い: クレジットカードなど可
- ウェブ: ご当地酒場 長崎県五島列島 小値賀町 | 株式会社ファンファンクション