五島市、福江の繁華街の古き良き洋食屋 五色
「きちんとしている」という言葉が聞かれなくなって久しい。長崎市内ではあまり聞かれないが、彼らは言われたことがあるのかというくらい、道もまっすぐ歩かないし、墓で花火はするし、長崎県内でもやはり異色だから、言われたことはないのだろう。長崎市内は昭和の香りが色濃く残り、懐かしい感じというより、昭和の猥雑で端端でモラルにも引っかかる様な何かがスリリングである。長崎のまちっこは、福江や島原や大村などにいくと昭和を感じるらしいが、これらの街では、独特の城下町の雰囲気と相まって、質実剛健、「きちんとしていた」時代を色濃く残すため、「昭和」にとどまらない、それぞれの福江らしさ、島原らしさ、大村らしさが街角の看板や水道の蛇口の佇まいからも醸し出されている様に思うのである。古くからの習わしやお祭りは長崎市とも異なり、歴史的にも、独自の藩と城を有していたことから、高校生を見ても目つきがどことなくしっかりと「きちんとしている」。
五島の食事情もやはりその様である。どこかへ一旦修行に出て、五島に帰ってきて自分の店を持ったという人も多く、それぞれの店には常連さんや贔屓筋がついている。この喫茶レストラン五色はお昼時には満席になる程の人で賑わっていた。五島牛を五島を去る前のランチにと思っていたが、望月が開いておらず、ランチ営業をしない焼肉屋がほとんどの中、五島牛ステーキランチの文字に惹かれて吸い込まれてしまった。
店内はボックス席がいくつも並んでおり、パリッとしたカウンターを備える店内を、おかみさんが一人で走り回っていた。調理場は一人でやっている様で、なかなか忙しそうな店であるが、注文を聞いて、5分から10分ほどでさっと提供された。ランチセットから、丼ものまで多彩なメニューが揃っていた。
五色の五島牛ステーキランチ
前日の夜は魚を堪能していたため、五島牛でも食べたいと彷徨っていて、思い出したほどであるから、ステーキランチとした。ロースの部分らしいが、肉の厚さは適度に火が通る程度にしてあり、断面もややピンクが残るほどの良い火の通りであった。ステーキであるのに、焼き加減を聞かない点は少し、訝しく思ったが、出てきて納得である。五島牛のステーキとして楽しむには必要十分な火の加減で、肉汁を芋に吸わせ、脂の入った肉質も脂身まで、堪能できた。脂身もクセは少なく、少し良い香りがするのが五島牛だなとも思った。
五島牛焼肉定食
※2023年1月追記
冬の訪問で、海は時化ているうえ、魚も獲れないとの日が続いていた。寒い日であったためか、水道管の破裂が島内でも多くみられた日であった。水道業者の人たちが、朝何件、午後はどちら方面と忙しく出入りする日で、興味深く眺めていたら、やってきた。
適度な大きさにカットされた肉の塊を、白いご飯に載せていただくのは嬉しいものであるし、一緒に炒めてある野菜にも、肉の脂と旨みが移っており、白飯はいくらでも行けそうなものであった。五島牛である必要はと言われそうだが、この程度の厚みがある方が、美味であるから、良い昼食であった。
昼には喜楽は営業しておらず、ここでのランチも選択肢に入れることにしたい。
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喫茶レストラン 五色 店情報
十八親和銀行からほど近く、商店街から一本、石田城側に道を入ったところにある。ボックス席の並び、カウンターのある店内で、コーヒーから洋食までを楽しめる空間である。他の洋食はまだ食べていないのだが、他所のテーブルに出てきたものを見ても、なかなか良さそうであった。五島牛のロースのステーキは美味であった。
- 住所: 長崎県五島市中央町4−29
- 電話番号: 0959743358
- 営業時間: 10:00 - 20:00
- 支払い:現金