佐世保で伝説(?)の街中華 状元楼
台湾系のオーナー兼料理人から店を引き継いで、「ああ、SSBBBA!」という感じのおばさまが店を一人で切り盛りしているのである。サービス業についているSSBBBAというのは、大抵人が好く、細かいところまで眺めながら、づかづかとあがっていくこともない、その間合いのよさからホスピタリティ豊かなひとときを演出するものなのである。もともとは常連客として店に通っていたおばさまが、調理の技術、方法論を前オーナー兼料理人から店とともに引き継いで、現在の形に治ったというのだ。今のおばさまになって、創業40年以上の歴史をもつ。戦後、間も無くに台湾系のオーナー兼料理人は佐世保の地にやってきたのだといい、現在はどこかよその国にいるという、佐世保らしいエピソードも有名なのである。
店の名前の由来は、やはり中国大陸にあり、唐代から清朝末期まで続いた、役人の登用試験である進士、殿試、省試(名称は時代とともに移り変わったがシステムはそのまま維持されてきた)の試験における首席合格者を状元と呼んだことに因むという。満州語、ベトナム語でも同様の単語がみられ、過去に552名が記録されている。秀でたものの中でも一番、ということにあやかったのであろう。
八幡店という名前は、西海鎮守の社、亀岡八幡宮にちなんでおり、佐世保では「はちまんさん」と呼ばれる、鎮守府設置以来の町のお社に依る。
店のメニューはやはりどこか独特で、汁ビーフン、肉てんぷら あたりはなんともいえない風情がありそうであった。ただし、初回では必ずちゃんぽんを食すると決めているブログであるから、ちゃんぽんを紹介するのである。ビーフンの料理などというのはどこか台湾的な雰囲気もあって、ぜひ食べてみたいようにも思うが、香辛料などの感覚はどこか現在の台湾とも異なるような気がして、興味深い。
状元楼のちゃんぽん
具材はキャベツ、モヤシ、タマネギ、エビ、豚肉、イカなどである。麺は唐灰汁の弱目にきいたちゃんぽん麺である。スープは自家製なのであろう、鶏ガラベースのスープである。
火の通る程度にまで、焼きをメインに煮を足したような仕上がりのちゃんぽんである。具材の歯触りが適度に残されている。塩味が薄めにしてあるが、スープと具材の地味豊かな感じが大変マッチしている。すり身の類を入れないところが長崎県内では珍しいうえに、どこか長崎市内におけるスープうどんのような仕上がりで、酷暑の始まる中、心と体に大変良い仕上がりであった。
最後にはスープに膜がはるような仕上がりであり、これはスープの質がもともと良いものに因むのであろう。大きなアルミ鍋でスープを仕込んでいるらしく、それが終わったら汁物は終了なのかもしれない。
碗は白磁の地に、どこか適当にろくろを回して呉須を載せたのが内側で、外側には牡丹か何かの赤絵風の絵付けがしてある。
状元楼 八幡店 店情報
おばさまは料理を作るもの食べるのも大変に好きなのだと語っていたのが印象的で、これがまた、店としてやっていくのによいのかもしれない。
- 住所: 佐世保市八幡町2−8
- 電話番号:0956258495
- 営業時間:11:30 - 19:30
- 定休日:日曜日