プラナカン調の色彩に溢れる中華レストラン ニューよこはま
マレーシアやシンガポールにはプラナカンという文化がある。プラナカンは、15世紀に福建を中心とした大陸の人々がマレーシアやシンガポールのマラッカ海峡沿岸に住み着き、ここで土着化して独自の文化を作り上げたものである。中華大陸との行き来はあるものの、交易で財をなした人々であり、どこか古い長崎の人々のようでもある。パステルカラーの色彩で彩られ、豪華な調度をあつらえ、欧州の文化もどこかに取り入れながら、中華ベースに東南アジアの土着文化を取り入れていった、独特の文化形態である。
さて、崇福寺から辻二つ分くらいを電車通りに行ったところを入っていくとニューよこはまはあるのだ。セラー ランプライターのマスターによると、慣れ親しんだ長崎の味という、唐灰汁の効いたちゃんぽんは前回紹介している。座る角度のせいか、あまり気が付かなかったのだが、脂の染みた店内ではキラキラとした色彩の多様さだけはどこかに残っていたのだろう。再訪してみたところ、ミントブルーで塗られた棚と赤や真鍮の煤けた様などは、遠い異国感が滲んでいたのである。
メニューも独特ないわれのわからない、ものがいくつもあるのである。まず、皿うどんは小麺と大麺と記載されている。カルビーセット、クーミージャンセット、マーボーラーメンセットなど摩訶不思議なセットメニューの数々が見られるのである。クーミージャンは何かの漬け込んだものを乗せたメニューなのであろう。マーボーラーメンセットに至っては、ラーメンは別で、マーボー丼で出てくるのである(店内の写真を参照した)。
中華レストラン ニューよこはまの細麺 皿うどん
具材はキャベツ、タマネギ、モヤシ、ハンペン(紅白)、黒キクラゲ、ゲソ、チクワ、豚肉などである。餡は砂糖のたっぷり入った甘味の強いがスープの香りもするものである。麺は細麺ではオレンジ色にまで火が通されているが、唐灰汁のあまり効いていない、小さく割れている麺である。
「ソースもかけて食べてくださいね」とおかみさんの一言にあるように、砂糖の効いた甘い餡である。金蝶ソースをたっぷりかけて、塩分と旨味、スパイス味をふんだんに振り撒け食べるのが長崎流であり、「じげもん」の言うには金蝶ソースのスパイスと塩味が餡の甘味を中和すると表現するものもある。
最後の方にはソースを吸ってしんなりとしてくる細麺が好きなのであるが、下の絵のようになる頃が、細麺皿うどんの良いところでもあるのだ。白ければ白いほど良いのであるが、白い餡に覆われてサービスされた細麺皿うどんが、金蝶ソースでベージュ色に染まり、下のこんがりとした狐色の麺と会い混ざるほどに、さまざまの色彩が顔を表すのを目で見て楽しむというのも細麺 皿うどんの楽しみである。太麺においては、焼きそばタイプが第一であるとしているので、細麺だけにしかないバリエーションの楽しみである。
向かいの建物にまで、ニューよこはまは進出しているのである。
ニューよこはま 店情報
昭和から平成と令和を飛ばして未だ昭和の長崎市であるが、その中でも昭和の面影を色濃く残す中華レストラン、ニューよこはま。甘いのは皿うどんだけではない、ちゃんぽんも甘いのが長崎なんだと改めて思わされる貴重な経験である。
- 住所:長崎市油屋町5−6
- 電話:0958277588
- 営業時間:11:00 - 20:30