危険な交通事情の長崎市
前回記事を書いて、そういえば、こんなこともあったと、探し出したのが以下のツイート。
さすがDJN。。。
— DRK (@limken21) March 3, 2021
軽自動車を幅寄せして、バス車体と歩道の縁石の間に嵌めた。。。
自転車などの二輪車に幅寄せしていく運転手もいますから。未開度が高め。。バスに近寄ってはいけない。#長崎バス
車が宙に浮いた状態に…路線バスと軽乗用車が衝突【長崎市】(KTNテレビ長崎)https://t.co/qolnWKZJp3
長崎バスの車体と歩道の縁石との間に、軽自動車がはさまっているのである。長崎市民はこれを見て、「また幅寄せしたんやろー」と思うらしい。長崎バスの幅寄せ事例は多く、自転車に対しても寄せてきて、そのまま生垣に転倒させた例もある。サイクルレコーダーなどで画像撮影しておく必要を感じる。
長崎のまちっこは自転車に乗れなく、危なっかしい
明治伝来の使い方をするものもいる。まだ自転車の黎明期、地面を蹴って進む時代のように自転車に乗るものが見かけられるのである。カール・フォン・ドライス男爵のドライジーネよろしく、自転車における舵取り機能と二つの車輪の転がり機能を利用する乗り方である。自転車に乗るというのにはサドルに跨りバランスをとりながらペダルを踏み込み前進するものが一般的なのであるが、当地ではそのようなことを可能とするものは習性としてない。浜町近辺の平な土地であっても、サドルにまたがってはいるのだが、ただ地面を蹴って進むものに出くわすのである。自転車もおそらく伝来したのであろうが、当地の人々には今でも馴染まない、乗り物であり続けており、珍妙な乗り物として認識されているようである。
ある時、戸町の坂を登っていた時のことである。小ヶ倉の坂は割合整備されていて、下りであっても見通しが良いのであるが、小菅あたりの新戸町・上戸町に上がっていく坂は見通しが悪く、事故が多発している線である。友人の同級生という近しくも遠からぬ人が同地で交通事故で亡くなった話を聞くほどのところであるから毎回注意をして走行しているのである。
この坂で、ヘルメットもせずに一般自転車で降ってくるものがあった。前のカゴには弁当箱を入れてブレーキも危なっかしく降りてくるものであるから、速度はそこそこのんびり上っていたところ、前輪後輪のブレーキのバランスを間違えたのだろう、自転車ともども空中を一回転しながら飛んでいったのである。弁当は空から降ってきてカラカラと滑り落ちていくのだった。後続の車両がすぐには来なかったから良いようなものである。スーツ姿のおじさんはそのまま地面に叩きつけられるように落ちてきたが、そのままこちらが声をかける間もなく、恥ずかしそうに荷物を拾ってまた坂を下りて行った。
ヘルメットはしておいて欲しいし、自転車の整備もしておいて欲しいし、日中からライトの点灯はしておいて欲しいが、どれも西の果てのDJN民には一般常識・一般教養の範疇と認識されない項目であるから、起こった時はミゼラブルな結末になるであろう。
前回は、長崎でのサイクリング事情を、環境や他の交通手段との関係性からまとめていたが、今回は、実際に走ってみる、ルートを紹介する。
野母崎方面
長崎市内で一番のサイクリングルートは野母崎方面であろう。深堀・香焼へ分かれる江川の交差点を抜ければ、交通量が格段に減るのもその理由だろう。適度なアップダウンがあり、距離も往復で野母崎サイクリングロードなるものが存在するが、ロードバイクで走ることは勧められない。秋は落ち葉が多く、小さなヘアピンの連続で、ランナーなども多い。また景色もあまり良くはない。
長崎市内を出発する前提でコースを出してみる。長崎市街から、グラバー園下を抜け、小さな造船所の一角(将来このエリアの造船所は松が枝第二バースとして取り壊し予定である)を右手に南下していくとすぐに坂の出くわす。上戸町/新戸町方面に登る坂である。皆速度を出して登っていき、事故が多いルート(上記の事件もここで起こった)であるから、合流や出庫する車に注意しながら走行して欲しい。道なりにいくと新戸町に出、ダイヤランド(三菱が開発したニュータウン)までの坂に出会う。この丘を越えると小ヶ倉となる。
あとはアップダウンを繰り返し、野母崎方面へ向かう。香焼、伊王島方面の道路と分かれたら交通量は減っていき、さらに川原方面と別れる三和 道の駅前の交差点でもまた交通量は減っていくため、この辺りまで来ると少しホッとするだろう。アップダウンは依然として多いからハンドルやタイヤ周りには気をつけて欲しい。特に地元の人から見ても難所と見えるのは、岳路(たけろ)の海水浴場を過ぎたあたり、黒浜と呼ばれる海岸まで一気に降りていくポイントである。上りは大抵は良いのだが、下りでのスピードの出過ぎに気をつけて進んでほしい。
黒浜の海岸まで降りれば、トンネルを抜けて、あとは平坦な道を野母崎まで行くのみとなる。黒浜の海岸から長崎市街地側の急な坂がある以外、軽いアップダウンの道となるため、帰りはそう気にしなくても良いのかもしれない。コンビニエンスストアも各所にあり、駐車場も広いため、休憩にも事欠かない。
帰りは下の戸町を通って帰ってくるルートが、左手に海を眺めながらになるためおすすめである。香焼から市内を通して、交通量が多い傾向にあるため、走行には注意をして欲しい。
戸町近辺では戸町トンネルを抜けずに手前の信号を左折し、国分町を抜ける方が良い。古くは戸町番所という番所が設けられ、この辺りが長崎と大村藩領を分ける境目でもあったところだ。その先の深堀エリアは佐賀鍋島藩領であった。
戸町のトンネルを抜けた(交通標識上は自転車乗車での通行不可)ところにKOKUBU DOCK HOUSEもあり、このホステルを起点に長崎市内のサイクリングをたのしむことはできるだろう。現在営業が行われている形跡があまりない。いかんせん、市民の交通マナー意識と道路が悪いため、長崎市内のサイクリングはあまり勧められない。
野母崎ルートであるが、以下のような詳細となる。
距離: 57.27km
獲得標高: 589 m
最大傾斜: 9.0 %
帰路のうち、長崎に戻ってくる際に、川原を橘湾側を走行するというルートも良い。勾配の様子を見ると、野母崎側の斜面が急であるため、初心者には帰路に橘湾・天草灘側を通るのが良いだろう。
時津 長与 琴海方面
二つ目は北上するルートである。これは本当につまらないルートで、単調にバスと追いかけっこをし合う様なことを時津あたりまで繰り返すことになる。また、道路混雑も甚だしい地点が多いため、あまりすすめない。ただ、時津の交差点より先、琴海方面、長与/諫早方面は、大村湾の眺めが綺麗であるから、長与駅まで輪行してしまうという手も良いだろう。かつての長崎街道の一部でもあり、時津長与から大村に船で渡っていた時代の名残もあり、現在でもこのルートの定期船がある。
交通量が多かったり、長崎市内での右折が煩わしいため、市内から一路、飽の浦方面に抜ける。朝夕のラッシュ時を除けば、三菱の長崎造船所の立神方面は交通量は減少するため、これを狙ってのルートをとる。偽物の赤煉瓦の壁伝いに進み、旧三菱重工病院(現在は移転して市内へ近くなった)前、飽の浦のトンネル前で折り返し、元来た道を戻っていく。
稲佐橋の袂から浦上川沿いに北上していく。住宅街を抜ける道路、と言っても国道に並行するため恐ろしい交通量であるが、を長崎本線(長与支線)に沿って郊外を目指す。道の尾と呼ばれる大きな交差点をスキップできるのがこのルートの良い点であろう。なだらかなアップダウンで時折地元の人の道路横断のための信号停止がある程度である。
国道206号線に合流し、道の尾を過ぎると、難関は横道の交差点である。滑石(なめし)方面へ抜ける車が多く、左折専用レーンで信号待ちはできず、また信号機の変わり目も初見では不規則に見えるため、一度横道のバス停まで行き退避するのが良かろう。この調子で行くものだから、あまり一定のケイデンスで走行することは不可能と考えた方が良い。
このまま国道206を進んでいくと、打坂を越え、なだらかな下り坂となる。時津の交差点までは一気に降っていけるが、週末のお昼頃ともなると、休日に行き場を失っているものがバイパス沿いの大型店に出入りしたりと悲劇的な渋滞を見せる。これは琴海に抜ける木場崎の坂あたりまで続く。
琴海まで進み、西彼杵半島まで出れば、そのまま西海市・佐世保市方面までのルートはなだらかなアップダウンの中で、内海の光景とこんもりとした緑の島々が浮かぶ大村湾の風景が広がるため、時津あたりまで輪行してしまうのが良いのかもしれない。また、琴海から先となると、西彼杵半島の山越え(といっても丘越え程度)を繰り返すのも良いだろう。県道レベルの道路であれば、57号線などは山道を進むこともできるし、242号線では大村湾の海ベタを進むことができ、自転車遊びには良いだろう。もちろん自転車屋などというものはないため、しっかりとした準備と計画を練って欲しい。この辺りは楽しみ方は人それぞれになるため、あえて記載しない。
帰路であるが、時津の交差点をあえて左折するのをとる。時津から長与に抜ける道路は、これまた渋滞するのであるが、車の動向を見ていれば、時津長与エリアでは歩道に加えて路肩が広く設けられているため、こちらを走行できるのが大きい。とはいっても、市民の交通マナー遵守の意識が低いDJNエリアであるから、路肩走行する自家用車もあり、もうなんでもござれである。長与時津ともなると、新興住宅地のエリアであり、長崎市内よりもマイホームが低廉に入手できるとして人気のエリアであり、住宅の数は増えてきているうえ、車社会であることも考慮したプランとして欲しい。また、時津には工業団地・三菱関連工場も設けられているため、朝夕の交通量は多くなる傾向にある。
当ブログでは、長崎市内の市街地に近いエリアでは国道をできる限り走行しないことを推奨する。道の尾バス停を越えるあたりからバスの交通量が異常に増えるのであるから、長崎バスには幅寄せや急な横入りなどを繰り返されるため、不要なストレスを感じないためにも、できる限り彼らからは離れて進んだほうが良い。
このルートは総じて悪路が続く。大きく路面の剥がれた部分や線状にアスファルトの崩れた部分が多く、路面の補修は追いついていないため、路面状態の観察が必要である。これは、長崎市内でも屈指の交通量を見るところであり、過積載のトラックや急停止・急発進を繰り返す車両が多いためであろう。それらを避けて走行しているものに対してのクラクションや幅寄せ、煽り運転なども横行するエリアであるから、速度や時間よりとにかく安全を第一にしてほしい。
距離: 62.47 km
獲得標高: 475 m
福田・式見方面 上っては下りを繰り返す、一種最も長崎らしいルートとなる
福田・式見・三重方面へ抜けるには二つのルートがある。一つは女神大橋を渡り、大浜トンネルを抜けて、福田に出るもの、一つは上記の滑石から長崎畝刈線にのりそう標高の高くない峠を抜けて、畝刈を通り、三重に抜けるものがある。今回は女神大橋、福田、式見、三重に達し、そこから畝刈を抜けて、琴海へ抜けるルートである。このまま、三重から外海方面まで、出津、神浦と抜け、県道57号線を通り、大村湾がわに出てくることもでき、このコースまでを含めて走れば、上記の三つを合わせて、ほとんどの長崎市(茂木を除く)を踏破したことになる。
市内から女神大橋を目指すとなると、野母崎方面を目指すよう南下するルートをとり、野母崎方面と同様に、上戸町・新戸町へ上っていくバイパスルートをとる。そのまま新戸町まで達すると、長崎自動車道にも通じる大きな交差点に出、ここを右折しトンネルを抜けると女神大橋となる。この際、左側の歩道からでは、対岸に渡った際に橋梁下部の歩行者専用道路で反対側の道路へ抜けないと、福田方面には抜けることができない。
大浜トンネルを抜けると福田に至る。入江一つごとに山を越えるルートが始まる。福田から小江、手熊、式見をぬけ、三重に至る。この間、小江と手熊の近辺ではトンネルができているところもあり、かつてのような山越はない。ところによっては10%を越える区間も繰り返されるが、1km程度進むとすぐに下りに入ることになるため、このような練習が好きなものには良い練習地だろう。
三重漁港まで至ると30km内外である。ここで昼食代わりにでも水産食堂に寄っても良いだろう。三重・畝刈は割合平らなところであり、一息ついてから次に進むのも良いだろう。
このまま外海方面である神浦、出津、西海市方面に向かうならば、コンビニなどでの補給ができる最後のエリアである。なお、この先の外海方面の道路では2021年8月の大雨の影響で、片側通行などの交通規制が敷かれているため、その区間等は出発前に確認をして欲しい。国道202号線にあたる。
新しくできた、畝刈のトンネルを抜ければ、上記の時津長与ルートへ合流する。この区間は特に目新しいものもないが、畝刈トンネルが新しいくらいであろう。
距離: 59.78km
獲得標高: 700m
最大傾斜:28.5%
付加的ルートとして、以下にあげておく。三重から外海を通り神浦港までいき、そこから山越えをするコースである。猪などの産地としても有名なエリアであるから、くれぐれも衝突などに気をつけてほしい。
距離:37.75 km
獲得標高: 873 m
終わりに
以上、3ルートを見てきたが、どれも、ある意味では長崎らしいルートである。歴史的な背景のある時津長与琴海から平戸街道へと進むルート、長崎の自転車愛好家の間での定番野母崎ルート、10%前後のアップダウンの頻繁な繰り返しをする言葉通りの津々浦々を進む福田式見三重ルートである。交通マナーなどは全国的に見て最低レベルの長崎市であるから、そのあたりに注意しながら楽しんでほしい。