旧居留地のホテル ANAクラウンプラザ
長崎市の旧居留地と呼ばれるエリアには、貿易や観光などでやってきたもののための西洋式・欧米式ホテルが多く見られたという。これらの名前やブランドはもう消え失せてしまい、残っているのは、その立地程度のもので、長崎という街のブランド意識というのかを如実に表しているような気もするのである。奈良ホテルでの事例を見ても、それらのホテルで使われていた西洋食器などはよその地域に転出していき、現在でも大切に使われていたという。ただの市有地になってしまい、物品の管理などできない長崎市の持ち物のグラバー園などに展示するくらいなら、現役で使ってもらった方が食器のためにも良さそうである。
ANAクラウンプラザ 長崎グラバーヒルは、1974年に開館し、当初長崎東急ホテル、全日空ホテル グラバーヒルをへて、リブランドされて現在の営業形態となっている。ヒルトン長崎の営業も手がける松藤グループのフランチャイズでの営業である。他のANAクラウンプラザブランドと比べると、どこか危なっかしい動きを見せるスタッフなどもいて、なかなかスタンダードの形態からは遠からず、近からずという雰囲気である。
南山手と呼ばれる、この土地にはもともと1863年開館のベルビューホテルが位置していた(1920年に閉館)。居留地の丘の入り口でやや海より高い位置に位置した森の茂みの中に、日本初の洋式ホテルとして開業したという。現在の九州教具が運営するホテルベルビュー出島とは名称は同じであるが、関連はない。外国人居留地内に位置しており、近隣にはグラバー邸をはじめとする長崎の外国人商人の住居もあり、現在でもどこかその名残を窓からの景色として感じられる(かもしれない)。
https://www.city.nagasaki.lg.jp/sumai/660000/666000/p010228.html
2011年のリブランド後、地元のタクシーの運転手には、クラウンプラザといっても通ぜず、しばらくは全日空ホテルと伝えないと車を出してくれない時期が続いていた。10年を経過して、ようやく最近では「クラウンプラザ」という名称が定着している(ANAは落ちる傾向にある)。
日華航路の廃止とともに、戦後以降の国際情勢・国際航路や市場の変化により、長崎は国際貿易港の地位から転落し、西の果ての田舎町に堕ちて行こうとしているが、その最後の雰囲気を感じさせる雰囲気が随所でみられる。
ANA クラウンプラザ 長崎グラバーヒル デラックスフロア シングル
東西方向に縦長の建物である。グラバー園や大浦天主堂のエリアまで伸びる坂の脇に佇んでいるホテルであるから、昼間は観光客の喧騒が聞こえてくることであろう。ベランダは特に注意書きはないものの、使っても良いが、落下などには注意をしてほしい。
シティホテルとしては一般的な間取りであり、必要なものは大体揃っている部屋である。
ANA クラウンプラザ 長崎グラバーヒル 朝食
IHGの会員であり続けて15年ほど、プラチナからスパイア、ダイヤモンドとその変遷も眺めて来ているのであるが、現在のダイヤモンド特典で無料朝食を選んでみる。何かで察知するのであろうか、会員と一般客はエリアを分けての案内にしているのであろう、テーブルの大きさや密集度の異なるエリアへ案内される。四海楼や稲佐山が遠くに見える長崎らしいビューである。
エッグステーションもあり、和洋から選べる朝食である。日本国内での定番となりつつあるカレーのサービスや皿うどんのサービスなど、やや地元の特色は出しているようではある。
- 住所:長崎市南山手町1−18
- 電話番号:0958186601
- チェックイン:15:00 チェックアウト:11:00(会員種別によって変更あり)