工業団地の入り口に位置する天有閣
柳埠頭に位置し、周囲には九州地方整備局長崎港湾・空港整備事務所などもあり、昼間の人口は多いエリアである。大型のトラックや商用車がひっきりなしに行き交っている。また、小ヶ倉より先、深堀や香焼などは三菱重工のドックなどもあり、周囲は長崎の中でも屈指の工業地帯である。通りから見えており、怪しい雰囲気の町中華があるという認知ではじめておとづれてみた。
背後の壁のメニューには、かつては町中華のように一品料理も提供していたのだろう、その名残のメニューがいくつかみられ、漢語での中華料理メニューがある。おかみさんと店主の二人だけでやっているこぢんまりとした店で、愛想は良くないが、早い安い味濃い目の三拍子揃った、昼時には良い店である。会計で白銅貨を受け取るおかみさんの元気の良いのは午後への活力になるかもしれない。
店内は、紅いカウンターに椅子が6席ほど、小上がりに2つの卓がある。カウンターの特等席からはちゃんぽんなどに向けての中華鍋を振る様が見える。中華鍋に具材を順番に投入し、炒め、横の鍋からスープを移し、調味料で味を整え、ちゃんぽんの、下から麺、もやし、キャベツの三層構造を丁寧に盛り付けている様などを眺めていると、そのうち碗が差し出される。
周囲の労働者が集まる店舗らしいランチの品揃えで、ボリュームたっぷりなセットメニューなども多く揃えているあたりが、このエリアらしい。また、それに合わせた、長崎の地の味付けであった。古くからの町中のちゃんぽん食堂の風情が残り、三八ラーメンの香り・雰囲気にも似ている。調味料の台には、三八ラーメンでもみられる、昔の角瓶(サントリーの角ウイスキーのボトル)を調味料入れに、蓋を計量カップとして使う、長崎でも古式ゆかしいやり方が残る。
天有閣のちゃんぽん
具材はキャベツ、もやし、ネギ、ちくわ、紅白のハンペン、豚肉、あさり、ゲソなどである。スープはほとんど鶏ガラだろう、長崎らしい、砂糖を多用した甘いものである。麺は中平麺のちゃんぽん麺だが、やや唐灰汁が効いているほどである。
火の通りはささっと炒めただけ、焼きも弱く、煮も弱い、もやしの歯触りが楽しめる程度である。スープが甘めであるが、煮込みが弱い分、具材にスープを纏う程度で丁度良い気もする。ネギとハンペンの彩りがなかなか白い器に映える。
器は店名と電話番号入り、かつては出前もやっていたはずの碗で、ラーメンと共用なのだろう、口のやや開いた白い、飾り気のない碗であった。
天有閣の店情報
- 住所: 長崎県長崎市小ケ倉町3丁目469−2
- 電話番号: 0958789020
- 営業時間: 11:30ごろ - 不明(定休日などもあるため、電話で問い合わせが必要)
- 支払い: 現金のみ