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長崎の夏の風物詩 その3 長崎精霊流し 2020年 ー精霊流しは開催、新しい生活様式で乗り切る?ー

令和2年のCovid-19流行下でも開催される長崎精霊流し

「いやあ、さだのあの精霊流しの感じさぁ、どっかしんみりすっとよ〜。」とのこと。

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長崎市の精霊流しは派手と見栄であるが、コモを片手にとぼとぼ行くのをみると、無事に来年もと共に思う

長崎市の精霊流しは、全くさだまさしの「精霊流し」の歌の感じと違うがどうかという問いにキトキトまちっこのNBBAがそう答えるのにはいつも驚く。

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船を出さないものが持ち寄るコモ 御供物を包んで流す 長崎らしい精霊流しの景色である

私は他所の者であるが、精霊流しをやったことはあるのである。舟盛りの器くらいのサイズの精霊船を孫が6人で、のんびり、5mおきくらいに爆竹を鳴らして、流し場まで運んで行ったのである。西の極楽浄土へ帰っていくんだなあとしみじみと、さだまさしの歌の様だったとも後から思うのである。お盆になると、帰ってくる様な気がして、お盆が終わるとなんだか寂しくなる様になったのはその頃からだろう。

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佐世保の精霊船の値段 少なくとも一桁、多くて二桁高いのが長崎市の精霊船 大きくて見栄が張れるのが長崎市流

その後、長崎市へ移り、テレビで子供の頃見ていて、爆竹のカスが道路脇に山盛りで、派手な船が何艘も行き交うのに違和感を覚えたのを間近にみる様になった。あの市街戦の様な火薬量と煙、炎、怒声、鐘の音などなどに遭遇する精霊流しから、長崎市のじげもん(長崎弁の土地の人、県民はささないことが多い)は私の精霊流し感と同じ様なことを言うのである。彼らは感受性が豊かなのだろう、他所の人が見てもさだまさしの精霊流しとは似ても似つかない、戦争さながらの身の危険をも感じる風景を見て、あの歌詞の中身を思い浮かべると言うのである。

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薬莢の飛んだ後の様に あたり一面が煙と炎と花火カスで覆われていく

さて、長崎の精霊流しはとにかく派手である。くんちの女性方の着物は三日同じものは着ない、見栄っ張りなまちっこが、クルマ一台分くらいは吹っ飛ぶ金額で揃えたものに、一夜のうちに、火を付け、最後は重機の御馳走にしていくのが精霊流しである。Covid-19流行中でもあるが、くんちは止めるが、精霊流しは中止にしないと、2020年8月15日、夕方から始まる。

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コッコデショの樺島町はこの様な神輿で精霊流し

感染症流行と長崎の精霊流しの歴史

過去に、貿易港として様々な感染症の流行に直面してきた長崎市内であるが、宗教行事でもあった年中行事としての精霊流しも、延期や中止と言うことは繰り返されてきた様である。「長崎精霊流し」と言う本を開いてみると、新聞記事をざっと追っただけの記載が見えてくる。ここでいう長崎といっても長崎県内ではなく長崎市内のみのことでこの辺りは長崎=長崎市であり長崎≠長崎県という長崎市民の天領思想の顕れであり常に注意が必要である。長崎学も長崎市のみをフォーカスする学問であるのだろう。

長崎港近辺で明治期から流行した感染症として、コレラ、腸チフスがあったが、これらの感染症により延期や中止の措置が取られてきた。呼吸器感染症としての1918パンデミック(1918年から1920年のH1N1型インフルエンザの流行、スペイン風邪ともいう)の時期は、腸チフス、天然痘、コレラの患者が市内でも散発しており、医師たちも診断に苦慮しただろう。

世界におけるコレラの流行は大まかに分けて、6回の波があった。日本国内では、明治以前の、文政と安政の流行に続き、明治期、1900年代初頭まで6回、計8回のコレラ患者数のピークがみられ、日本の医療・公衆衛生体制の整備の中で、コレラは公衆衛生上の重要疾患であった。インフルエンザや他の感染症の流行も踏まえてなのか、コレラを理由とした精霊流しの延期・中止記載が新聞では目立つほどであった。市役所としても、コレラ対策と年中行事のバランスに苦慮してきたことが窺える。盂蘭盆での集会の禁止として、知事より罰金刑までの県令が出た年もあった(明治35年)。

  • 1885年(明治18年) コレラ流行により中止
  • 1886年(明治19年) コレラ流行により延期
  • 1890年(明治23年) コレラ流行により延期
  • 1895年(明治28年) コレラ流行により延期
  • 1902年(明治35年) コレラ流行により延期
  • 1920年(大正9年) コレラ流行により延期
  • 1931年(昭和6年) 腸チフス流行により延期

また、明治期の記載によると、当時も、墓前で飲食をし、大宴会の末、コレラ流行が拡大し死者が多数出たとする記載(明治18年、19年の流行)もあり、墓前での飲食を禁ずる通達が出た年もあったという。長崎市の「墓で花火」はこの墓で大宴会ののちに行われることであり、Covid-19下でも注意が必要だろう。

rd.kyodo-d.info

精霊流し開催にあたって参加者への注意点(市発表)

さて、今年、2020年の精霊流しは開催されることとなった。明治期の様に特に延期になったり、注意喚起の内容も強制力はなく、のんびりとしたものである。精霊船を流す人向けと観覧者向けの二つが出ている。

「どーいどーい」と掛け声を出し、他所から帰省してまで精霊船を流そうというのが例年の精霊流しであるが、消毒用アルコールに引火して、大炎上などというのは褒められたことではないので、注意をしてほしい。

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長崎市からのお知らせ 上部は毎年のことであるが、下半分はこのCovid-19状況下

帰宅する前に寄る飲食店などでの注意点はない アルコール飲料は今年も許可か?

観光で来ているものも、ホテルの部屋やテレビの生中継で眺めるなどの方が当世風であろう。

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歩道を封鎖するのかと思っていたが、観覧ができる様にするという

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