四海樓のちゃんぽんミュージアム
四海樓の二階には、ちゃんぽんミュージアムなるものが併設されている。創業以来、使われていた磁器やちゃんぽんの碗が残されており、メニューなどの展示もされている。建物を移動する際や賄い場の片隅に打ち捨てられていた様な風態の食器が並んでいる。
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すべての資料が残っていないのだろう、メニューの変遷などは追うことができず、あまり学術的な価値に乏しいのが長崎らしい間の抜けた雰囲気を出している。また、このハリボテ感満載の建物に似つかわしく、明治大正期の食器類などはあまり質が高いものではなく、当時の飲食業の雰囲気がわかる点は興味深い。
ちゃんぽんのことがわかるミュージアムというよりは、四海樓の歴史についての展示があるミュージアムであると考える様が良いだろう。
湯肉絲麺がルーツとは本当なのか?肉絲湯麺ではなかったのか?
ちゃんぽんとして提供されるのはいつからなのか、その記録には乏しい様で、大正時代のメニューは漢語メニューであり、「湯肉絲麺」と記載があり、福建での呼び方がそのまま使われていたという。ただし、これも、何かがおかしいのである。
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「湯肉絲麺」では、現代の中国大陸の検索エンジンでは検索結果に表示されず、台湾の検索エンジンでもこの表記でも表示されない。文化大革命や大躍進を経ている大陸では失われた文化も多いだろうが、福建に割と近い台湾の結果を見ても、正しくは「肉絲湯麺」であったのではないだろうか。四海樓の初代の世代に、福建のルーツはあるものの、1)新しい料理としてこの料理を創造したか、2)ただ単に間違ってメニュー表に記載したかのどちらかではないだろうか。
現在の鼎泰豊でのメニューにも「雪菜肉絲湯麺」というメニューがあり、以下の様に記載されている。
爽脆的雪菜與筍絲,搭配上香滑的肉絲呈現出清爽口感,加上鼎泰豐自製雞蛋麵與清新舒爽的高湯,讓您不禁一口接著一口。
具材は青菜の漬物、千切りタケノコに豚肉の千切りで、卵麺を使ったすっきりとした透明なスープの一品である。
大陸の動画サイトなどを見ても、ちゃんぽんらしい作り方をしている肉絲湯麺の動画を見つけることができる。具材を先に炒め、そこに調味料やスープを足して最後に生麺を煮込む、ちゃんぽんとほとんど同じ作り方である。
店情報
観光業にシフトした長崎のちゃんぽん屋の施設としては、物足りない展示である。
- 住所: 長崎市松が枝町4−5
- 電話番号: 0958221296
- 営業時間:11:30 - 15:00、17:00 - 20:00
- 支払い:現金、クレジットカード、QRコード決済
- ウェブサイト: https://shikairou.com