ちゃんぽん御殿の四海樓
30店目を迎えるこの特集であるから、一つ四海樓にしてみようと出かけてみた。そもそも、四海樓は、ちゃんぽん発祥の店として知られているが、おそらく厳密には、ちゃんぽんを始めた店の一群の中の現代までの生き残りなのだろう。創業当初から数年経った新聞の記事には長崎市内に十数店のちゃんぽんを供する食堂があった様である。
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明治32年(1898年)に創業し、広馬場、現在の籠町に位置していた様である。当初、ちゃんぽんは「支那うどん」としてメニューにあった様である。結局、いつからちゃんぽんという呼び名になったのかは四海樓の中でも特に定まった説がなく、1)「吃飯」がなまった説、2)江戸時代からあったという「ちゃんぽん」の説が記載されている。昭和48年に現在の松が枝の土地に移動し、グラバー園直下の長崎市内でも屈指の観光エリアに展開した。一階には土産物屋を開設し、独自のお土産を開発し、中華料理屋から、ちゃんぽん屋兼観光業へのシフトを進めていった長崎らしいちゃんぽん屋の一つである。
松が枝に移ってきた頃より、ちゃんぽん御殿の様相は強くなった。白壁に橙色の瓦をのせた中華風の作りの御殿であったのを、開業100年を迎える頃に、現在の建物になった。大きなガラス張りの5階の食堂からは稲佐山と長崎港を望め、行き交う船を眺めながら、食事ができる様になっている。夕暮れ時などはそれはそれは良い景色になるだろう。
休日の昼時の遅い時間に訪問してみたが、15分待ちの看板、それがあることが驚きであるが、を使用していた。Covid-19下でのソーシャルディスタンシングをとる様になって、使わないテーブルを作っていたりと、観光業として現在は長崎市内の飲食店の中でも、老舗中の老舗で、初代から数えること4代目の当主が店を切り盛りしている。このCovid-19下で、ちゃんぽん屋らしく、ちゃんぽん皿うどんだけを提供するスタイルになる。気楽な商売となったものである。
ちゃんぽんだけで御殿の様な建物ができてしまったのだから、昭和という時代の右肩上がりな様子が感じられる。旧四海楼の建物は以下のコマーシャルの様であったらしい。
Covid-19下で、客の入りが少ないためか、ちゃんぽん屋らしいA4一枚、9品目に絞ってのメニュー構成である。限定メニューとかコロナ感染予防対策と文言が並ぶが、ただ単に仕入れても注文する客がいないということなのだろう。この様な施策は江山楼でも行われているため、観光や業務の接待で利用する際には注意が必要である。
※江山楼での限定メニューはこちらに載せている。
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四海樓のちゃんぽん
古典的なちゃんぽんの一つであるが、徐々に観光側にシフトし、ある程度食べやすい、日本人の舌に適応した味になっている。具材は、キャベツ、もやし、黒木耳、小海老、下足、豚肉などである。最後のトッピングで甘い錦糸卵が載っている。スープは豚骨も入った鶏ガラスープでベージュ色に白濁している。以前はもっと白いものであったような気がするから、何かを変えたのかもしれない。ちゃんぽん麺はやや唐灰汁弱めの平たい麺であった。煮ているものであるが、麺の腰がかんじられる程度となっている。
焼きが軽く入って、キャベツの薄い部分が焦げるほどで、野菜の歯触りが残る程度の火の通りである。大体二杯ずつ作っているのか、持てるのが二杯なのか不明だが、何杯か一緒に作っているようである。器は口の立った、縁に金縁の雷紋様のある碗である。まあ無難な範囲のちゃんぽんである。
店情報
ちゃんぽん御殿を建てるだけのことはあり、このCovid-19下で、ちゃんぽん皿うどんのみのメニューに絞り込む潔さはちゃんぽん屋だけが為せる技である。中華料理という看板はおろしても良いのかもしれない。ミュージアムについては次の記事で記載することとする。
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- 住所: 長崎市松が枝町4−5
- 電話番号: 0958221296
- 営業時間:11:30 - 15:00、17:00 - 20:00
- 支払い:現金、クレジットカード、QRコード決済
- ウェブサイト: https://shikairou.com